第一種電気工事士(電工一種)の合格体験記
こんにちは。あーるです。
この記事では、私が2025年に合格した電工一種の体験談をまとめています。
今後受験される方の参考になれば幸いです。
・電工一種は学科試験と技能試験がある
・電験持ちは学科試験免除
・技能試験は練習が必要
第一種電気工事士とは
「電工一種」とは、正式には第一種電気工事士のことで、電気工事士法に基づく国家資格です。
この資格を取得すると500kW未満の自家用電気工作物の工事に従事することができます。
なお、500kW以上になると逆に資格が不要になります。
主任技術者立会の下作業する事が要件になるためです。ただし、多くの事業所では保安規定で素人工事を禁止しているとは思います。

合格には「学科試験」と「技能試験」をクリアする必要があり、免状の取得には3年以上の実務経験が必須です。

私は、実務経験がまだ不足しているため免状の取得が出来ません…
学科試験は試験時間140分電気に関する計算問題や施工方法、電気工事士法から出題されます。(電験持ちの方は学科試験が免除になります)
技能試験は試験時間1時間で10問の公表問題のうち1問出題されます。電工二種と同様に欠陥があると不合格となります。
認定で電工一種免状を得る方法
電気主任技術者免状を取得後、5年以上電気工作物の工事、維持または運用に関する実務に従事すると試験なしで電工一種免状が取得できます。
この場合の実務とは、電気主任技術者として選任される場合や、主任技術者の下で働いた期間を指すようです。

電工の試験は電験持ちに全体的に優しい気がします
使用した教材
私は電験三種を持っており学科試験は免除だったため、技能試験で使用した教材および工具を紹介します。
教材
「2025年版 第一種電気工事士技能試験 公表問題の合格解答」
電工試験受験者であれば一度は見たことある本なのではないでしょうか。
この教材を選んだ理由としては、練習の際に大型本の方が見やすいためです。
実際に使用してみると、記載が丁寧で過去の出題例も多く掲載されており非常にわかりやすい本でした。
(電工一種は施工条件が毎年地味に変わることがあり、特に電流計や電圧計の相に注意が必要であるため、過去の出題例は非常に重要です)
※正直なところ電工一種受験者のレベルであれば最新年度版の教材じゃなくても問題ないとはを思うので、メルカリ等で中古を探しても良いかもしれません。
練習用部材(電線器具セット)
電工二種の際に使用した器具が残っていたため、追加分の器具と電線を購入しました。
同様の製品は他にもありますが、このセットはコネクタ、プレートはずしキーが入っているため選びました。
実際に使用して問題なかったので、これから受験される方にもおすすめです。
工具
絶対必要な工具
・「ホーザン 電気工事士技能試験工具セット」
これは、電工二種受験者であれば99%は持っているのではないでしょうか。
私も電工二種の際に使用したものを持っていきました。VVFストリッパーがめちゃくちゃ優秀なのと、圧着工具が扱いやすいのが良いところです。
追加で持っていくと助かる工具
試験にあたりいくつかの工具を職場から借りていきました。受験を検討している方で借りられる場合は、以下の工具の持ち込みを推奨します。
・「ケーブルカッター」おすすめ度
職場から借りた工具①。KIPケーブルの切断に主に使用しました。

ペンチで切断は結構しんどい・・・って方におすすめです。
購入される場合はJISマークのあるものを選んでください。(試験の際の持ち込みができなくなるため)
・「ケーブルストリッパー」おすすめ度
職場から借りた工具②。絶対にあった方が良い工具。
公表問題No.10など電工一種はより線の施工がメインの場合があるため,HOZANのストリッパだけだと困ったことになります。(より線も剥けなくはないですが,結構やりにくいです)
また,5.5mm^2の接地線を剥く際にも非常に便利です。
・「鋭刃ニッパー」おすすめ度
職場から借りた工具③。あれば欲しいくらいのレベルです。
用途としては,ブッシングの穴あけやVVR等のケーブル内部の介在物処理に使用しました。
電工ナイフやペンチだと意外と面倒なので,鋭刃でなくてもニッパーはあった方が良いと思います。
合格体験談
・電験三種,エネルギー管理士持ち
・電工二種持ち
・電験二種二次試験受験直後
申し込み時は正直なところ舐めてました。
電験三種のおかげで学科試験は免除,電工二種で試験の経験もあり,普段の仕事でも電工作業を行うためです。

電験二種の二次試験の勉強もしていたので,電工一種の複線図くらいは余裕で描けると思っていた時代が私にもありました。
そんな感じで,電験二種の受験日から電工一種まで練習できる期間が平日の五日間しかないのを承知の上申し込みをしました。
(電験二種二次試験が日曜日で電工一種が翌週の土曜日)
そんなこんなで,電験二種の二次試験がなんとか終わり,その日のうちに全ての問題の分のケーブルの切り分けを行いました。

電験二種二次試験の電力管理科目が難しかったなとか,あの解答書き間違えてないかなとか考えながらやってました
そして練習できる5日間が始まります。
地獄の五日間
電工一種は10問候補問題があるため,単純計算で一日2問練習する必要がありました。
子どもがまだ小さく,夜は練習時間が取れないため朝4時くらいに起きて2問やるようにしていました。
月曜日,電験二種の疲労が残る中4時起きでNo.1の練習をします。
すると,全く時間内に終わらないことが判明。

そもそも回路も思ってたのと違うし,全くわからない・・・
(2極スイッチってなんだよ・・・)
私は施工時に複線図は描かないスタイルなのですが,複線図が描けなくて良いわけではないため昼休みにずっと複線図を描いて覚えることにしました。
それでも水曜日くらいで疲労のピークに達したため,時間休の取得や出張から早めに帰宅するなどしてなんとか耐える形に・・・
各問題の特徴
練習している間に感じた各問題の特徴を以下にまとめます。
電工二種や電験三種持ちで受験を考えている方は参考になると思います。
No.1・・・200V2極スイッチ(なぜ2極で切る必要があるか考えると理解しやすい)
No.2,No.9・・・自動点滅器の回路が難しい。図面もぱっと見だと分かりにくく,苦手な人も多い問題。
→回路の意味としては,通常使用と点滅の切替えがしたいと理解
No.3,No.4・・・KIP以外は電工二種レベル
No.5・・・2個の表示灯電源をどこから取るか施工条件で確認(難易度は低め)
No.6・・・端子台の二次側から運転表示灯の電源を取る点に注意
No.7・・・一次側配線のみの一種らしい問題。電流計の相が毎年のように変わって出題される。(特にS相電流パターンは事前確認しておいた方が良い)
No.8・・・見た目ほど難しくない問題。図面通り黄色のKIPを接続。
No.10・・・7番同様一次側のみ。VCB補助接点の黒渡り線に注意。
試験日当日
1本1000円くらいのユンケルで気合を入れ,会場に向かいます。
余裕を見て30分前に会場の最寄り駅に到着したはずが,持病の方向音痴が発動し迷子に。
結局会場には10分前に到着し,バタバタとトイレに行き工具を置いたら受験に関する注意事項の説明が開始。
電気工事士あるあるですが,作業台が狭く今回の会場では会議室でよくある長机を2人で使用するスタイルでした。
その後問題用紙と材料が配布されます。
この時点で,この日の出題が公表問題No.10であることがわかります。
偶然前日に練習していた問題だったため,記憶を辿り施工方法を思い出します。

確か,一次側のみの施工でより線が多く,黒の渡り線に注意する問題だった気がするな・・・
材料の寸法を測る時間があるため,そんなことを考えながら狭い机と格闘しつつ整理していきます。
試験開始
試験が開始すると,ジョイントボックスがある問題なのでブッシングの穴あけから開始します。
ニッパーのおかげで順調に進み,次はケーブルをカットして各端子台に接続していきます。
この問題はランプレセプタクルすらないため,ひたすら端子台作業といったイメージです。
前日に練習した甲斐もあって,端子台の接続も順調に進みます。
次にKIPの被覆剥きを行いますが,これも練習していたため特に問題なく完了。(ケーブルカッターのおかげで切断も楽々です)
一通り端子に繋げた後,VT二次側の結線に誤りがあることに気づき修正。
その後5か所(O4つ,小1つ)圧着していき完成。
10分程度残すことができたため,確認作業を実施。

これから受験される方は10分程度残すことを目標に練習すると本番も余裕があると思います。
確認は以下の手順で実施しました。
施工条件チェック→圧着端子刻印確認→圧着部の切断処理確認→端子台の緩み確認
確認作業も一通り完了したところで終了の合図。

終わり際は作業音が凄まじいです。
終了後,周りを見渡すと自分の作品がやたら長いことに気づきます。(机からはみ出すレベル)
まあ施工自体に問題があるわけではありませんが,退出時に他の人にぶつかられないか心配になりました。(笑)
その後退出し,緊張が解けて頭がスッキリし嬉しくなって吉野家で鰻重を食べて帰宅。
合格発表
合格発表は試験日の約3週間後でした。
きちんと確認したし大丈夫だとは思っていましたが,不安で仕方なかったです。
発表日当日の12時直後に受験番号を打ち込み,結果表示のボタンを押しますが混み合っていてエラーに。
少し時間をおいて,確認したところ「合格者一覧にあります」の表示。

試験はもう何回目かも忘れましたが,どんな資格でも受かるときは嬉しいものです。

さらに2週間後,免状申込み用の合格通知書と賞状が送られてきました。
(電工二種の時は賞状がなかった気がしますが,一種だからですかね)
免状の申し込みが出来るようになるのが楽しみです。
合格者が考えるやってよかったこと
以下によって良かったことをまとめます。学科は免除のため技能試験のみです。
電工一種受験経験者に話を聞く
受かった話より,落ちた話がかなり参考になります。
練習しないで行ったらKIPの剥き方がわからなかった,締め付けがゆるく端子台から線が外れた,圧着端子の端末処理を忘れたなど・・・
この話を聞いていたため,試験中の確認の際は重点的にチェックするようにしました。
YouTubeで施工方法の確認
HOZANなどが施工の動画をあげているため,大変参考になります。
また,電工二種からブランクがあったためケーブル被覆を剥く長さなどを思い出すために一通り見ていました。
電工一種は,端子台の施工が100%あるため欠陥にならないためのコツの動画がかなり参考になりました。
具体例としては,線はネジの左側に挿す,端子台の端から5mm露出してなければ良い,奥まで突き当てなくても欠陥ではない等。
ケーブルの売却
練習で使用したケーブルは金属回収業者に持ち込むと買い取ってもらえます。電工二種受験時は、そのことを知らず処分してしまいました。

〇〇市ケーブル買取とかで調べればOKです。
今回は以下のダンボールのケーブルをそのまま持ち込みました。

ちなみに被覆を剥くか事前に問い合わせたところ、剥いた方が買取価格は高いが労力を考えるとそのままの方が良いとのことでした。
そして後日,買取に持ち込んだ結果・・・3,410円(5kg)になりました!
ネットで調べる限り,1000円から2000円くらいが相場かなと思っていたため,満足度が高いです。
受験の際は買取業者を探してみることをお勧めします!
まとめ
以上になります。
電験三種や電工二種を持っている人でも練習なしだとなかなか厳しい試験です。
受験される方は,きちんと対策することをお勧めします!
それでは。


