甲種消防設備士第四類(甲4)の合格体験記
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こんにちは。消防設備士のあーるです。
この記事では私が数年前に合格した、甲種消防設備士第4類の受験体験記についてまとめています。
・甲種消防設備士は受験資格がある
・電気系資格保有による一部試験免除はしない方が良いかも
・電気の勉強をしてきた方だと取得しやすい資格
資格の概要
甲種消防設備士第4類は甲4の名称で知られる国家資格です。
合格率は例年30%程度で推移しています。
取得すると、非常放送設備や火災報知器などの点検および工事の監督が出来るようになります。
試験内容としては、筆記45問、実技7問で内訳は以下の通りです。
筆記試験
・消防関係法令(15問)
・電気の基礎的知識(10問)
・消防用設備等の構造・機能・工事・整備(20問)
※電気工事士もしくは電気主任技術者を持っていると一部免除されます。
実技試験
・写真やイラストに基づいた記述式試験(7問)
※電気工事士を持っていると1問目が免除されます。
また、試験時間は3時間15分とかなり余裕があります。
受験資格
甲種消防設備士の受験資格は多岐にわたりますが、ざっくり言うと以下の2つのどちらかです。
・理系の学校(工学、土木、化学、建築)を卒業
→高校、高専、短大、大学どれでもOK
・消防設備士、電気系資格、無線系資格等を取得
対応する資格が結構あるのでこちらは公式サイトでの確認をオススメします。

私は電気主任技術者(電験三種)の資格で受験申請をしました。

電気工事士で申請した方が免除される問題数が多いですが後述する理由により、そもそも免除を使用していません。
電気系資格による一部免除の罠
上述の通り、電気工事士や電気主任技術者を持っていると
申請をすれば一部の問題が免除されます。
資格マニアの方あるあるで、免除と聞くとちょっと嬉しいのではないかと思いますがこれは罠です。
甲種消防設備士は各科目4割以上正答かつ全体で6割正答する必要があります。
ここで一部免除を使うと、電気に関する問題を解答しなくて良くなります。
しかし、点数には一切カウントされません。
すなわち、本来得意とする分野で点数稼ぎが出来なくなるということです。
特に、電気の基礎的知識の問題は、電験三種持ちならほぼ確実に満点を取れるような内容です。
電験三種持ちが分からない問題が出たら他の受験生も分からないと思って良いと思います。
(というか、そのレベルにしないと合格率がとんでもないことになります。)
よって、この記事を見た方は、甲4において電気系資格の免除は利用しないことをオススメします。
※なお、試験免除を利用しなくても受験資格は満たせるのでご安心ください。
問題の難易度に関するとある噂
業務上で、消防関係の業者さんとお話しする機会があり、甲4の話題になりました。
その際に、業者さんから「東京は試験が難しいですよ」とのお話。
その方も、同じタイミングで甲4を受験するとのことで
東京での受験を避けるため遠方の試験会場にすると仰ってました。

どうしても合格したいという方は、東京以外にするのもアリかもしれませんね。
使用した教材
・本試験によく出る!第4類消防設備士問題集 著:工藤 政孝
消防系資格でおなじみの工藤本です。
危険物取扱者受験時に工藤本に出会ってから、消防系の資格では工藤本を買うと決めています。
甲4は基本的にこの1冊で十分に対策出来ます。
・第4類消防設備士 過去問題集 製図編 著:工藤 政孝
Amazonの商品紹介にある通り、いわばスキをなくすための教材です。
甲4の試験ではごく稀に製図で変わった問題が出題されることがあります。
この問題集は、実際に出題された問題の情報を集めて作られており相当数の製図の問題があります。
少々過剰な対策になりますが、安全策をとりたい方にはオススメです。
免状申請
試験に合格すると、免状申請用の用紙一式が送られてきます。
2900円を納付し(支払い方法は地域によって異なります)、申請書と結果通知書および返送用封筒を送付すると1ヶ月程度で郵送されてきます。

免状取得後の講習
余談ですが、免状取得後一定期間で講習を受講する必要があります。
受講しないと運転免許みたいに違反点数が積み重なるようです。
講習未受講は5点減点で、20点積み重なると免状を失います。
ただし、未受講のみで積み重なる点数は15点までなのでご安心ください。
しかしながら、違反点数を積み重ねた状態で実際の消防設備士としての作業で別の違反をすると免状を返納する必要があります。
実際に消防設備士の業務を行う方は講習を受講することをオススメします。
(会社から講習費用ももらえるでしょうし)
甲4合格体験記
勉強期間:2ヶ月程度 勉強時間:50時間程度 難易度:
・電験三種、電気工事士取得済み
・甲種危険物取扱者取得済み
・一級陸上特殊無線技士取得済み
・仕事で消防関係の業務有り
受験しようと思った経緯は、仕事の中で消防法関係の業務が意外と多いため勉強しようと考えたためです。
甲4の試験は東京の試験センターであれば月1回程度実施されています。
私は1月の試験をめざし11月頃から勉強を開始しました。
毎日1時間程度問題集を解いていく流れです。
甲4は電気に関する問題が多く出題されるため、筆記試験についてはほとんど勉強しなくてもある程度点数を取れる状態でした。
(これが試験免除を利用しないメリットです)
実技試験についても、概ね問題無い状態でしたが1つ懸念点がありました。
実技試験は製図の問題があり、基本的には感知器等の配置および配線が出題されます。
しかし、稀に特殊な感知器の問題が出題されるようで、取り組んでいる問題集のみだと対策出来無い状況でした。
仕方が無いので、もう1冊製図用の問題集を購入しどんな問題でも対応できるように。
製図の問題は1度書き込むと再利用できないため、私はipadに取り込んで書き込んでいました。
※勉強用はリフレッシュレートの関係があるため型落ちでも良いのでiPadProにこだわりましょう。

甲4に限らず、iPadでの勉強は書き込みがしやすく非常に捗ります。
高価ですが、教材の持ち歩きが不要になることやノートを購入しなくて良くなることが大きなメリットです。
多数の資格を受験される方は購入をオススメします。
準備万端にして、本番に臨みました。
試験当日
東京の試験センターが会場だったため、笹塚から徒歩で向かいました。
受験会場は広めで100名程度いたと思います。
(イメージとしては大学の大きめの講義室)
時計がなく、準備していた腕時計を机の上に配置。

甲4は珍しくスマートウォッチもOKでした。(ただし時刻表示のみのモードにするのが条件)
のんびり問題集を眺め開始を待ちます。
そして9時30分に試験開始。
各科目の印象は以下の通りでした。
・消防関係法令
→意外と難しく過去問では出てないような問題多め。過去問で対処できるものを拾っていくイメージ
・電気の基礎的知識
→簡単。全く点数を落とす気がせず並行して別解を考えるレベル。
・消防用設備等の構造・機能・工事・整備
→問題集とほぼ同じイメージ。電気工事士持ちならまず大丈夫な感じ。
・実技
しっかりと対策していったが、オーソドックスな問題がほとんどで悩む部分無し。
上記の通り試験中もかなり余裕がありました。
試験時間は3時間15分ですが、何度も見直しをして問題無いと思ったので1時間半くらいで退出。
試験後これは受かったなと今まで受験した資格の中で一番実感がありました。
1か月後結果が分かり合格。点数は以下の通りでした。
筆記82% (法令60% 基礎知識100% 構造機能90%)
実技85%
概ね体感通りの結果で、納得感がありました。
まとめ
・電気系資格による一部試験免除はしないことをオススメ
・電気の勉強をしてきた方だと取得しやすい資格
・実技の問題はしっかり対策していくと安心
以上です。
電気系人材の方で消防関係の知識を身につけたいという方には特にオススメの資格です。
私自身も取得してから消防設備点検の業者さんと話しやすくなったことを思い出します。
甲種消防設備士を受験される方は頑張ってください。
それでは。